皮革製造メーカーのWEB担当 ヒロです。
僕のメーカーは現在、革職人さんが2名、見習いさんが3名勤めております。
今回は革職人という職業について書いてみようと思います。
革職人という職業について
革製品をミシンや手縫いで縫製する職業、革職人。
僕の勤務先では主に「財布やキーケース」などの革小物を中心に縫製しています。
僕が勤務先から仕入れた知識なので、全てに当てはまる訳でありませんが「革職人」の世界について書いてみたいと思います。
職人の世界であることを理解する
想像通りかもしれませんが、バリバリ職人の世界です。
自分の腕一つで成り上がってやる!!位のモチベーションがないと続きません。
僕の勤務先の革職人さんはキャリア30年超えのベテランで、仕事の段取りに相当なこだわりを持っており、いわゆる「職人気質」そのもの。
全ての革職人さんがそうだとは言いませんが、上司になる人が厳しい事を覚悟の上で飛び込まないといけません。
最初は見習いからスタート
最初は見習いとして業務をスタート。
先輩職人の補助のような役割です。
コバ塗りや、糸の処理、革の裁断、ミシンの糸通し、残革の掃除などなど・・・
先輩職人が「あれ、やっておいて」と言ったらそれが仕事です。
見習い期間はメーカーによリますが、僕のメーカーの場合独り立ちまで3~6年位でしょうか。
人によります。
先輩職人さんに気に入られて、すごいスピードで独り立ちをする人もいましたが。
いつまでたっても、見習いのままの人もいました。
見習い期間中は働いているというより、「勉強させていただいている」スタンスで臨みましょう。
メーカー側としても見習い期間中に高度な事など望んでいません。
見習い期間中はとにかく学ぶ姿勢です。
最悪なのがバックれですかね・・・苦笑
革職人の給料面
一般的な製造メーカー勤務の革職人さんの年収は300〜500万とかでしょうか。
面白くない答えで申し訳ないのですが、メーカー勤務 = 会社員になりますので、まぁこんなもんです。
勤務地にもよりますが、だいたいこの間に収まります。
見習い期間中は「アルバイト扱い or 試用期間」となる為、本採用よりは貰える額が少なくなります。
それと、気をつけて欲しいのが労災保険にちゃんと加入されるかというか事。
革職人さんは業務中、ミシンやカッターなどを使うので怪我がつきものです。
大げさではなく、小さい怪我はよくあります。
ミシンで手を縫ったとか、カッターで手を切ったとか、どんなに気をつけてても起こります。
僕も職人さんが怪我をする所を何度か目にしています。
中にはですが、見習い期間中をいい事に搾取しようとする、悪どい業者もいます。
知り合いの革職人さんの話で、給与が手渡しで、給与明細もなし。
勉強中という事で保険未加入、残業代もなしと言う最悪の待遇だったそうです。
いくら勉強期間といえそのような場所は、さっさと見切りをつけましょう。
学校に行く必要はあるのか
革職人養成スクールやクラフト教室などですが、特に通う必要ありません。
もちろん、学べることは多数ありますし面接の強みになるのは確かです。
ですが、必ずしも通う必要があるのかというと、そんなことはありません。
僕のメーカーの革職人さんの一人は、大学で服飾を専攻し、在学中に革に興味を持ち革職人を志ました。
それまで、革財布はハンドクラフトでなんとか仕上げられる程度のレベルだったそうです。
その後、僕の勤め先であるメーカーに革職人見習いとして入社。
4年間の見習い期間を得て、今では立派に独り立ち。
他の職人の力を借りずに、ゼロから縫製できるまでに成長しています。
食える革職人・食えない革職人
コロナ禍で同業他社のメーカーや、関連工場が撤退をしているのが現状です。
あまり話題にも上がりませんが、製造業(財布やバッグ等のアパレル)はこれからますます厳しい状況になるでしょう。
とくに「町の小さな革工房」など・・・
生産現場は担い手不足に陥ってる場合が多いのですが、職人イメージからか若者がなかなか入社してくれません。
また、人件費をギリギリまで抑えた激安中国革製品の台頭など、暗い話題を挙げたらキリがありません。
ただ、それでも強い意志で「革職人として食っていきたい!!」
と思うのなら、まず自身が「革職人」としてどのようなビジョンを描きたいのか考えてみましょう。
・フリーランス(個人事業主)
それぞれ詳しく解説します。
メーカー勤め(会社員)
いわゆる一般的な会社員です。
冒頭に書きましたが、僕の勤務先の革職人さんの働き方は自社ブランドの革小物の縫製が業務になります。
メーカーに直接雇われる雇用体型になります。
僕の勤務先では「デザイナー」と「革職人」は完全に業務が分かれています。
デザイナーが挙げたデザイン画から、抜き型を作成。
素材を抜いた後、革職人さんが指示書に従い縫製を進めます。
求められるスキルは、商品を正確に納期通りに縫製する事。
ここでポイントですが、将来的に革職人としてフリーで独り立ちを目指す場合、「企画・デザイン」が出来るかどうかで方向性が変わってきます。
フリーランス(個人事業主)
企業に属さない働き方です。
会社員ではないので、自営業(個人事業主)になります。
フリーになる時は勢いも大事ですが、ある程度ロードマップが完成してないと路頭に迷うことになります。
- 企画・デザインは自分でやるのか?
- メーカーや工場、タンナーにツテはあるのか?
- 商品はどこで販売するのか?
などなど・・・
ざっと思いつくだけでもコレだけのポイントがあります。
企画・デザインをやらない場合、縫製業務の仕事を請け負う「請負職人」としての働き方がメインになります。
ポイント
イメージで言うと、縫製を依頼したいメーカーと契約を結び「外注」として業務に従事します。
当たり前の話ですが、メーカーの仕事がなくなったら仕事を振ってもらえなくなります。
実際、僕のメーカーはコロナの影響で請負職人さんの仕事はなくなりました。
デザインをやらない「請負職人」さんは、メーカーに左右されるので不安定な職業とも言えます。
「将来、革職人になりたい・・・」と考えた時。
【最終的に自分で企画・デザイン・縫製迄を行うのか??】が重要なポイントになります。
淡々と指示を受けた「ものづくり」をやりたいのか。
それとも、自分がデザインした商品を縫製して販売したいのか。
革職人と一括りにされがちですが色々ですよ。
その為、最初は「レザークラフト」から入るのは素晴らしいと思うんですよね。
素材選びから、デザイン、縫製までが一通り学べますからね。
革職人として仕事を始めるには
革職人としてキャリアをスタートするには、どうすればいいのでしょう。
製造メーカーで見習いからスタートするのが一般的ですが、レザークラフト等の趣味からスタートして、そのまま職業にする事もできる出来る便利な時代です。
あなたのやり方で「革職人」を目指せるよう、いくつか方法を提案します。
求人を出しているメーカーを探す
革職人は商品を作る、製造業に当たります。
ネットの求人情報で、例えば「皮革製造メーカー」「革職人」「カバン 製造」などと検索をすると結構な数がヒットします。
また、ハローワークの求人情報でも同じ様に求人が探せますが、
どうしても働きたいメーカーがある場合、求人の有無に関係なくメーカーに問い合わせを入れるのが一番です。
僕のメーカーで働いている革職人さんの話ですが、メールで自分を売り込み面接へこぎつけました。
素人ながら熱意が伝わり見習いからキャリアをスタートしました。
ちなみに日本の皮革製造メーカーはこのサイトで探すのがオススメですよ↓↓
まず憧れのメーカーを調べてみてはいかがでしょう。
気になったメーカーがあったら、連絡をする前に「口コミ」を調べることをお忘れなく。
ベタですが、「転職会議」で企業名を検索してみましょう。
口コミを全て鵜呑みにするのも、アレですが。
参考にはなります。
ビックリするのですが、従業員数10人以下のに小さな零細企業も掲載されてたりします。
みんな口コミ好きですね 笑
ハンドメイドサイト、オークションサイト、無料サイトで販売
ネット環境があれば、自分の作品を販売することができます。
ここ数年人気のハンドメイドサイト。
自分で作った手作りの作品を販売する為のサービスです。
オークションサイトでも、手作りのレザークラフト作品は出品されていますが、
ハンドメイドサイトは手作りの作品に特化しているという特徴があり、販売する人をクリエイターとして扱う事で特定のファンがうまれます。
ハンドメイドサイトでオリジナルの革財布や革バッグを販売すれば、もう立派な革職人というわけです。
自分の腕を試す意味でも、ここからのスタートもオススメです。
下記にオススメの販売サイトをまとめておきます。
ハンドメイドサイト
オークション(フリマ)サイト
無料ネットショップ
ここに載せているサイトは有名なサービスばかりなので、もっと深く探せば面白いサービスが探せば見つかるかもしれませんよ!!
クラウドファンディングで販売
今一番面白いサービスがこれです。
クラウドファンディングとは「群衆(クラウド)+資金調達(ファンディング)」という言葉を組み合わせた造語です。
読んで字のごとくですが、資金調達を目的としてネット上の不特定多数の人に賛同を呼びかけ資金を集める方法です。
財布やバッグの場合、購入型クラウドファンディングというジャンルに分類され、賛同をしてくれた方にはリターンとして物やサービスを提供します。
クラウドファンディングのサイトをみていると、本当に面白い商品が多いです!!
例えばこのお財布↓↓
マクアケで公開された、お財布のプロジェクトです。
一見シンプルなフラップ付きの二つ折り財布ですが、ワンアクションで全てが見える。
しかもカードを13枚入れても厚みが2cm以下・・・凄くいいです。
このプロジェクトの売り上げ金額を見てください。
2000万です!! 凄くないですか?
クラウドファンディングは、メーカーでも個人でも関係ありません。
面白いアイデアがあるのならチャレンジする価値あり!!
夢がありますよね!!
クラウドファンディングサービス
まとめ
革職人の世界についてまとめてみました。
記事にも書きましたが昔はメーカーに勤めて、修行を積んだ上で独立の流れでしたが、最近は趣味がそのまま仕事になったりもします。
時代は変わってきていますよね。
腕試しの意味の含めて、まずはネットで自分の作品を売ってみては如何でしょう。
参考になれば幸いです。