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【直し方】財布のファスナー(チャック)が閉まらない時の修理方法【引っかかる】

2021年3月10日

皮革製造メーカーのWEB担当 ヒロです。

財布にはいくつかタイプがありますが、その中でも収納力がある形が「ファスナータイプ」。
しっかり詰めても、ファスナーでまとめる事が可能です。

では、そんな財布の「ファスナーが閉まらない」時、どうしますか。
修理方法を紹介します。

ファスナー(チャック)の構造を理解しよう

財布 ファスナー

ファスナーと一口に言いますが、まずは構造を理解しておきましょう。

今回は「財布」の話を中心に進めますが、ファスナーの基本構造はだいたい同じなので覚えておいて損はありません。

ファスナー 構造

わかりやすいように画像を用意しました。
可動部分が「スライダー」、噛み合わせる箇所が「エレメント(務歯)」
これだけ覚えておけば十分です。

ファスナー(チャック)が閉まらない原因は大きく分けて2つ

ファスナーが「閉まらない」・「動かない」・「壊れた」などなどドラブルは多々あるかと思います。
ただ、原因のほとんどは「スライダー」か「エレメント」のどちらかです。

それぞれ「原因別」にまとめます。

スライダーが原因

ファスナーを開閉するのに使用する「スライダー」。
上下させエレメントを噛み合わせたり、外したりするパーツです。
小さなパーツですが、ファスナーの肝と言える箇所です。

「スライダー」が原因の主なトラブルは下記の通り。

  • スライダーが生地を巻き込む(噛む)
  • スライダーが外れた
  • スライダーが馬鹿になる(閉まらない)
  • スライダーの持ち手(引手)が取れた

それぞれ対処法を見ていきましょう。

スライダーが生地を巻き込む(噛む)

スライダー
メジャーなトラブルですね、1度や2度経験があるのではないでしょうか。

財布の場合、滅多に起こらないトラブルですが、内生地が緩い時に巻き込んでしまった修理事例を聞いたことがあります。

こちらの対処法は、スライダーに挟まった生地を横向き(水平)にゆっくり引っ張りましょう。

スライダーを無理に前後してしまうと生地を痛めてしまう可能性があります。
ゆっくり引き出すのがポイントです。

また、生地を引っ張っても巻き込みが解消できない場合、マイナスドライバーを使用します。
先端を差し込み、「隙間」を作ってあげましょう。

注意ポイント

力を入れすぎると、スライダーが破損してしまう恐れがあるので優しく、慎重に作業しましょうね。

スライダーが外れた

スライダーがエレメントから外れてしまうトラブル。

電車がレールから脱輪したかのような状態ですね。
こちら、力技ではありますが無理やりにエレメントをスライダーに噛ませるという方法があります。

下記の紹介動画がわかりやすいです。

ただ、今回はあくまで「財布」のトラブルをベースに書いてます。
財布はエレメントの稼動幅が少ないので、難しいのではないかと思います。

ヒロ
財布でこの手のトラブルが発生したら金属疲労を疑って、最初から修理を勧めますね。。。

自分でなんとか!!
という場合、マイナスドライバーでスライダーの隙間を開きつつ、エレメントに差し込んでみましょう。

また、完全にスライダーが外れてしまった時は、下止を外してスライダーを差し込み直す方法があります。

ちょっと高度な作業になりますが、下止が確認できるタイプの財布なら作業が可能です。

噛み合わせが悪い(閉まらない・ずれる)

スライダーを動かしているのに「エレメントが閉まらない」、または「エレメントがずれて余ってしまう」

原因はスライダーの劣化や変形などの金属疲労により、エレメントが上手に噛み合わなくなったという事です。

これはスライダーをラジオペンチで挟み、スライダーの緩みを解消する方法があります。

こちらも上手に解説している動画があったので、貼っておきます。

スライダーの歪みを修正して、噛み合わせを修正したという訳です。
ただ、製造メーカーの目線ですが、スライダーに摩耗がみられる場合寿命ですので交換をお勧めします。

持ち手(引手)が取れた

スライダー 構造
スライダーの先端についているパーツ、「引手(ひきて)」と言います

財布の「引手」はファスナーを開閉する時、力が加わり金属疲労から破損する事多い箇所です。

ヒロ
引っ張りやすいように、先端に革のチャームがついてるやつもありますよね。

画像のようにスライダーは「柱」と「胴体」で構成されます。
この「柱」の隙間を拡げ、新しい引手と交換すればOKです。

物によりまちまちですが、マイナスドライバーだと力が入りすぎて破損する可能性が大きいです。
下記動画のように、専用の工具があるのが望ましいです。

こちらもあくまで自己責任でお願いします。
ちなみに「引手」は、探せばいくらでも売ってるのでカスタマイズしてもいいかもしれませんね。

エレメント(務歯)が原因

「スライダー」を走らせるレールのような位置付けのパーツが「エレメント」です。

務歯(ムシ)とも言われますが、エレメントの方が一般的ですね。

噛み合わせて開閉を行います。
「エレメント」が原因の主なトラブルは下記の通り。

  • エレメントが破損(曲がる・欠ける)
  • 全体的に滑りが悪い

それぞれ対処法をまとめます。

エレメントが破損(曲がる・欠ける)

エレメントの一部が欠ける、または、曲がってしまった場合ですが、多少の曲がりならペンチで整えることも可能です。

ただ、エレメントは規則的に並んでいるので、大きく曲がってしまったエレメントは交換したほうがいいでしょう。

また、エレメントの一部が欠けてしまった場合、ファスナー本体の交換が必要になります。
欠損がみつかった場合は諦めて交換しましょう。

ファスナー交換となると、縫製を解かなければなりません。
レザークラフトをやってる人ならまだしも、触った事ない人には厳しい作業になります。

プロに任たほうがいいでしょう。

メモ

※下記項目「ファスナーの修理を店舗に任せる場合」にまとめています。

全体的に滑りが悪い

ファスナーを閉める事はできるるけど、引っかかる・突っかかる・スムーズにいかない。

その場合、エレメントに油分が足りてないのかもしれません。

自宅である物だと、「ワセリン」・「固形石鹸」・「リップクリーム」・「ロウソク」などで代用できます。

「エレメント」と「スライダー」に指で少量塗り込み、スライダーを動かす作業をくりかし馴染ませます。

滑りが良くなったら、残った油分を拭き取りましょう。
この作業を怠ると、思わぬシミになってしまう可能性がありますからね。

あくまで、上記は家庭にある代用アイテムになります。
ペンタイプの潤滑油が一般的なので、1本持っておくといいかもしれませんね。

ファスナーの修理を店舗に任せる場合

ファスナーが壊れた時、些細なトラブルなら自宅で対応が可能です。

ですが、エレメントの欠損など自宅ではどうにもらない事もあります。

騙し騙し使っていてるといずれ、本当に使えなくなってしまいますし余計な出費が発生する可能性も・・・
メンテナンスの時期だと思って修理依頼をしましょう。

「ブランド直営店」と「リペアショップ」、それぞれ違いをまとめます。

ブランド直営店

  • 同じ金具に交換して貰える
  • 混み具合により、納期が前後してしまう
  • リペアショップと比べると、修理代金はややお高め

まず、ハイブランド系のアイテム(ヴィトン、グッチ、プラダ 等々・・・)
これら、「ハイブランド」と言われるファスナーの金具には、「ブランドロゴ」が打刻されている場合があります。

この打刻入り金具は一般に出回っていません。
(※ブランドイメージもありますし、安易に偽造品を作らせない為です。)

その為、完璧な修理を求める場合、直営店での修理が必要となります。

一般的に購入店でなくても持ち込みは可能です。
修理箇所ごとに一定の基準は設けてあるはずなので、気になる方は問い合わせてみましょう。

街のリペアショップ

  • ファスナーは流通品(代替え品)での修理になる
  • 納期は早い 数日〜数週間
  • 料金は作業によりピンキリ:3000円~15000円など

ファスナー修理の金額は物により大きく前後します。
なぜなら、「財布の形状」も違うし「ファスナーの材質」によっても金額が変わるからです。
本当にざっくりですが、僕の勤務先の「修理料金概算」の一例を上げてみます。

内容 料金 納期
ラウンドファスナー ファスナー交換 10000~ 3週間〜
財布全般 ファスナー交換 8000~ 3週間〜
財布全般 スライダー交換 4000~ 数日〜数週間
財布全般 引手交換 4000~ 数日〜数週間

なぜ、「ラウンドファスナー」のみ別枠なのかというと、縫製を解くのが大変だからです。
他のリペアショップもこんな料金設定だと思います、参考程度にどうぞ。

出典元:YOURMYSTAR

もし、リペアショップをお探しならユアマイスター がお勧めです。

エアコン修理業者が中心なので目立ちませんが、カバンや財布のリペアも行っています。

全国300人〜の革職人さんに見積もりが取れるので、お店を探す手間もありません。

修理を考えてる方は「見積もり“”」を取ってみては如何でしょう。

「ファスナー」・「チャック」・「ジッパー」の違いとは

ヒロ
(どれも形が同じなのになんで呼び名が違うんだ・・・??)

「ファスナー・チャック・ジッパー」呼び名は違いますが、全て同じ物を指します。

ファスナーといえばの有名メーカー「YKK様」のWEBページに詳しい説明があったので一部文章を引用させて頂きます。

1891年に米国ホイットコム・ジャドソン氏が、靴ヒモを結ぶ不便さを解決しようと考えたものがファスナーの起源とされています。
1921年に米国のメーカーが、閉める時の「シューッ」という擬音の「Zip」からファスナーを「ジッパー」と命名し、その呼び名も浸透しました。
日本では、1927年に尾道で「巾着(きんちゃく)」からもじって、ファスナーを「チャック印」として販売したところ評判になり、「チャック」という名前が定着しました。

 

引用元:YKK 「ファスナー」と「チャック」と「ジッパー」の違い

ファスナーは世界各国で使われており、それぞれ名称が異なると言うことがわかりますね。

まとめ

ファスナーが閉まらない時の、対処方法についてまとめてみました。
色々書きましたが、「ファスナー」はあくまで消耗品です。

もし、修理が難しい時でも、簡単に諦めてはもったいないです。
ファスナーを交換すれば、本体の財布はまだまだ使えます。

手入れをして長く使って上げてくださいね。
参考になれば幸いです!!

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