皮革製造メーカーのWEB担当 ヒロです。
一般的な長財布の横幅が「何センチ」か知っていますか。
メーカー目線で、長財布の大きさについて書いてみます。
長財布の平均的な大きさとは
長財布と一口にいいますが、形状は様々。
「ラウンドファスナー」・「L字」・「フラップ(かぶせ)」などなど、「長財布」と一括りにされますが特徴は異なります。
ですが、形状は事なれど一般的な「長財布」は以下のサイズに収まると言われています。
- W(横)19~21
- H(縦)9~11
- D(マチ)2~3
いくつか代表的なメーカーの長財布のサイズを出してみましょう。
W(横) | H(縦) | D(マチ) | |
sot ラウンドファスナー | 20 | 10 | 2.5 |
COACH ラウンドファスナー | 19 | 10 | 2 |
Paul Smith フラップ | 19 | 9 | 2 |
PORTER L字 | 19.5 | 10 | 2 |
このように、メーカーは違いますが平均値が出ていますね。
「ラウンド・フラップ・L字」と形状が違うのにほぼ一定のサイズ感です。
なぜサイズが平均的になるのか
長財布が平均的な大きさになる要因。
それは「お札とカード」の収納方法にあります。
- 基準は1万円札のサイズ
- カードポケットの位置により横幅が決まる
基準は1万円札のサイズ
長財布はお札を折らずに収納できます。
つまり、お札がそのまま収納可能なワイド(横幅)が必要と言う事ですね。
日本円の中で一番大きいお札が1万円札になり、サイズは「W160mm × H76mm」になります。
この1万円の「縦横のサイズ」をベースに内寸のポケットが作られます。
1万円札ギリギリのサイズにしてもいいですが、少しゆとりがないと「お札が取り出しにくい」ですよね。
実際にデザインする時には「ポケットを縫製する時の縫い目」と「ポケットのゆとり」を考慮して、上下左右に「+2cm~」程度が余裕が生まれます。
カードポケットの位置により横幅が決まる
もう一つ、長財布のサイズを決める要素があります。
それは「クレジットカード」のサイズ。
クレジットカードの大きさは「W85.60mm × H53.98 × D0.76mm」。
この大きさは国際規格「ISO/IEC7810」の「ID-1」に該当し世界共通の大きさになります。
クレジットカードのサイズが、国によって違ったら困りますよね。
財布の「カードポケット」はこの規格に合わせて作られます。
例えば長財布のデザインで、カードを横並びで2枚配置した場合どうなるでしょう??
・「W 85.60 × 2 = 171.2cm」
カードを横に2枚配置すると約17cm。
お札の時と同じですが少しの余白が必要になる為、「17+2=約19cm」程度。
お札やカードを基準にして、平均的な縦横比になる事が分かりますね!!
一回り小さい長財布を探す時のポイント
ここからは「一回り小さい長財布」の探し方について書いてみたいと思います。
最近は「キャッシュレス」の流れから、多くの現金が必要なくなり「長財布は必要ない」とも言われています。
ただ、「長財布からミニ財布に移行したが、使いにくくて無理だった・・・」との声もあります。
そんなユーザーをターゲットにしてか、最近はギリギリまで縦横を削った「一回り小さな長財布」が人気です。
探し方のポイントは以下の通り。
- 横幅は17cm前後で探す
- カードは上手に重ねる
それぞれ詳しく解説します。
横幅は17cm前後で探す
一般的に19cm程度の横幅がある長財布ですが、W(ワイド)17cm前後で探してみましょう。
1万円札がギリギリで収納できる、ピッタリくらいのサイズ感です。
たかが、「1cm〜」と思うかもしれませんが、財布の1cmは大きな差になります。
長財布の横幅を削ろうと思った時、ファスナーの厚みや、縫製の幅がネックになります。
例えば、「ラウンド」よりは「L字」の方がスリムに仕立てやすいですし(ファスナーが片側のみだから)、もっと言うと「フラップ式」ならファスナーがないので更にスリムにデザインできるかも・・・知れません。
カードは上手に重ねる
カード収納についても同じ事が言えます。
冒頭に書きましたが、シンプルに横に2枚並べると「W 85.60 × 2 = 171.2cm」になります。
横幅を詰める事を考えると 、カードは「並べる」ではなく「重ねる」事になります。
カード1枚の厚みは「0.76mm」。
当たり前の話ですが、横幅を縮めるとカードの重なりが増え厚みが増します。
この「重なり」をいかに処理してるかチェックしましょう。
1万円札がギリギリ入る小さな長財布
最後に1万円札がギリギリで収まる、小さな長財布を4つ選んでみます。
仕事柄、様々な財布をチェックしてますがその中でも「面白いなー」と思ったメーカーさんのお財布です。
サイズを比較してみます。
ちなみに、僕はこういった新しいアイテムは「クラウドファンディング」や「SNS」などで探す事が多いです。
W(横) | H(縦) | D(マチ) | |
SYRINX / Hitoe® L-zip L | 17 | 9.5 | 1 |
STATUSY / FRAGMANzip | 17.5 | 8.5 | 1.5 |
RUBATO&Co. / SMITH | 18 | 9.5 | 2 |
BrEAknoT / Ollet | 16.8 | 8.5 | 1.2 |
世に出てない、面白いアイテムが多いので見てるだけでも楽しいですね。
SYRINX / Hitoe® L-zip L
W(横) | H(縦) | D(マチ) | |
SYRINX / Hitoe® L-zip L | 17 | 9.5 | 1 |
国内のクラウドファンディングサイトの「財布ジャンル」において、最も支援金額を集めたのが「SYRINX(シュリンクス)」になります。
「Hitoeシリーズ」は改良を加える度に話題を呼び、急上昇で認知度が拡がりました。
財布一型で7800万って・・・凄まじいです。
建築家の佐藤さんがプロジュースする「SYRINX(シュリンクス)」は、ミリ単位でこだわったディテールが魅力。
「ミニマル」「黄金比」「金具をあまり使わない」など、シンプルながらギミックの詰まった作りにこだわりを感じます。
「L-zip L」は一般的なL字長財布にはみられない、コインポケットの形状をしています。
万人受けしない、一見特殊な構造であるからこそ「コアなファン」がついてくるD2Dブランドの成功例と言えます。
当初はAmazonなどのモールでも購入できましたが、現在は新作発表時の「クラファン」か「公式サイト」でしか購入できません。
ショッピファイで構築された「公式ECサイト」のみの販売です。
ブランドイメージの為、2020年4月にモールから撤退済み・・・ファンがつく理由も分かる気がします。
STATUSY / FRAGMANzip
W(横) | H(縦) | D(マチ) | |
STATUSY / FRAGMANzip | 17.5 | 8.5 | 1.5 |
こちらも最近クラファンで熱いブランド、STATUSY(ステータシー)です。
「FRAGMANzip」はフラグメントケースをベースにした長財布です。
外にカードポケットがつく「フラグメントケース」は、カードサイズのアイテムがほとんどでした。
「フラグメントケース」と言えば最低限のカードに少量の現金を持ち歩くイメージで、財布というよりパスケースのようなサイズ感でしたね。
そんな「フラグメントケース」を、そのまま「長財布」にしてしまった所が面白いです。
ありそうでなかった感じが良いですね。
RUBATO&CO.
W(横) | H(縦) | D(マチ) | |
RUBATO&Co. / SMITH | 18 | 9.5 | 2 |
お次はRUBATO&CO.(ルバートアンドコー)のL字長財布です。
1番の特徴はカードを立たせて収納するポケットでしょう。
蛇腹構造で両サイドに20枚のカードが収納可能。
大きく開いて、パッと見で中身が全て見渡せワンアクションの支払いを可能にします。
カード20枚、小銭20枚、お札15枚 と充分すぎる収納力。
色展開をあえて「ブラウン」と「ブラック」の2色に絞った所もブランドとしてのポリシーを感じます。
こちらも「公式ECサイト」のみの取り扱いになります。
一点一点職人が作ってる為、予約販売になり最低でも入荷まで3ヶ月はみた方がいいでしょう。
人気の証ですね。
BrEAknoT
知る人ぞ知るブランドかと思います。
財布マニア(?)の間で、「小さくて最も使いやすい二つ折り財布」との声が上がるのがBrEAknoT(ブレイクノット)の「Minitto/ミニット」シリーズです。
2021/12月に「おもてなしセレクション」を受賞した間違いない折り財布です。
そんなBrEAknoTが手がける長財布が「Ollet」シリーズ。
W(横) | H(縦) | D(マチ) | |
BrEAknoT / Ollet | 16.8 | 8.5 | 1.2 |
コインポケットのある長財布で「W16.8cm H8.5cm D1.2cm」というサイズ感は極小。
僕の知る限りでは、最も小さいと言える長財布になります。
こちらも購入する場合、「実店舗」か「公式EC」のみでの取り扱いになります。
お札ポケットを大胆に切り込んだ、斬新なデザインですね。
まとめ
長財布の「平均的なサイズ」についてまとめてみました。
平均的なサイズは1万円札を基準に「W19~21 H9~11 D2~3(cm)」となります。
この基準を元に、一回りコンパクトな長財布を探すときは「W17cm前後」を目安に探してみましょう。
もちろん、小さくなればお札は取り出し辛くなります。
ただ、そこがメーカーの腕の見せ所と言いますか・・・技術力の差がハッキリと分かる箇所でもあります。
是非、複数社比べてお気に入りのブランドを探してみてください。
参考になれば幸いです。